退院初日の夜泣き、眠れぬ夜と小さな命のリズム
「これが育児の始まりなんだ」と実感したのは、病院を退院して家に帰った初めての夜でした。昼間は親族の出迎えもあり、賑やかに過ぎていった時間。でも夜になると、一気に静けさが訪れ、あの小さな命と私たち家族だけの空間が始まったのです。
初めての夜は予想以上に大変でした。退院したばかりで身体は疲れているはずなのに、赤ちゃんはお構いなしに泣き始める。21時を過ぎてミルクを与えて落ちついて寝たと思ったら、30分もしないうちにギャン泣き…。ミルクも上げたばかりで「おしっこ」も「うんち」も大丈夫だから後は抱っこのみ。ススクワットしたり、横にゆらゆらしながら泣き止むのを待って、次のミルクの時間まで泣き止んで、泣いての繰り返し。23時半になりふたたび泣き声が響き渡ったところで、妻が母乳を上げてミルクの時間までを耐え忍ぶ。助産師さんも母乳はどれだけれも上げて大丈夫ということで、泣いたら母乳を上げてみるということに。
ミルクのリズムと母乳のあやし方
3時間おきにミルクをあげるというルーティンは、病院で教わったもの。けれど、赤ちゃんのリズムはその通りにいくとは限りません。飲み足りなければ泣くし、眠れなければ泣く。そして母乳であやしてみても、抱っこして揺らしても、なかなか泣き止まないこともありました。ミルクは母乳より消化が良くないということで、3時間はちゃんと開けないといけないので、お腹がすいて指をチュパチュパさせていても抱っこか母乳に頼るしかありません。
「赤ちゃんは泣くのが仕事だ」と言われても、夜中の11時、2時、5時にその“仕事”をされると、親の心と体はフラフラになります。でも、寝顔は天使です。目を閉じながら安心したように呼吸を整えていく姿を見ると、「よし、もうちょっと頑張ってみよう」と思えるのです。
退院直後だからこそ感じた心の揺れ
病院では助産師さんがすぐそばにいてくれて、泣いてもアドバイスをくれる安心感がありました。でも家に戻ると、それが一切なくなり、すべてが自分と家族の手に委ねられる。その重みは、想像以上でした。
「泣き止まない…なんで?」と焦ってしまう気持ち。「母乳足りてないのかな」「おむつかな」「暑いのかな、寒いのかな」と、考えすぎて答えが出ない。そんな時こそ、パートナーと声を掛け合って、眠い目をこすりながら交代する。その時間が、私たちを“親”として育ててくれているのだと思います。
小さな命と過ごした一晩が教えてくれたこと

たった一晩のことなのに、心の奥深くまで刻まれるほどの体験でした。赤ちゃんは泣いて、私たちはあやして、また泣いて。でもそれを繰り返しながら「この子のために何ができるか」を考え続ける日々が始まったのだと、退院初日の夜に教えられました。
完璧な親なんていません。でも、試行錯誤の中で、自分たちだけの育児のリズムを少しずつ作っていける。それが、子育ての醍醐味であり、親になるということなのかもしれません。子供と一緒に親も日々成長です。
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