出産時のスクリーニング検査
赤ちゃんの誕生を心待ちにしている妊婦さんやご家族にとって、「出生前検査」や「新生児スクリーニング検査」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。特に注目されているのが「マススクリーニング検査」と「拡大スクリーニング検査」です。
この記事では、それぞれの検査が何を目的とし、どのように行われるのか、費用やタイミング、対象疾患の違いについてわかりやすく解説します。
マススクリーニング検査とは?
マススクリーニング検査(Mass Screening)は、生後間もない赤ちゃん全員を対象に実施される検査で、日本では「新生児マススクリーニング」として知られています。
主な目的
症状が出る前に先天性代謝異常などの病気を早期に発見し、適切な治療につなげること。
対象疾患
日本では厚生労働省が定めた 20疾患(先天性代謝異常症、甲状腺機能低下症など)が主な対象です。これらは放置すると成長障害や知的障害を引き起こす可能性があります。
検査方法
・生後4〜6日目に赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取
・ろ紙に染み込ませて専門機関へ送付し、酵素活性や代謝物の測定を行う
費用
公費でカバーされるため 自己負担は原則なし。
拡大スクリーニング検査とは?
マススクリーニングの対象疾患に加えて、重症複合免疫不全症やライソゾーム病、副腎白質ジストロフィ、脊髄性筋萎縮症などを対象とした任意の検査です。重篤化しやすいものを重点的に検査するものとなっています。各自治体や医療機関で提供状況が異なり、検査費用は自己負担になる場合がほとんどです。
特徴
・標準検査ではカバーできない稀少疾患や代謝異常も検出可能
・早期治療によって命や生活の質を大きく改善できる可能性
検査の流れ
・マススクリーニングと同時またはその後に任意で申込
・同じように血液を採取して外部の専門ラボで分析
僕たちは拡大スクリーニング検査を実施します。僕たちの通う産院では、36週までに同意書と費用を前払い。費用については産院ごとで異なるとは思うが、11,000円程度の追加費用で受けれると思います。早期発見により、その後の治療や生活水準も変わってくると思いますので、やって損はないと思います。
費用の目安
両者の違いを比較してみよう
項目 | マススクリーニング | 拡大スクリーニング |
---|---|---|
対象者 | 全新生児(全国一律) | 任意で希望者のみ |
対象疾患数 | 約20種類 | 重篤化するものを重点的 |
費用 | 公費負担(無料) | 自己負担(1万円程度) |
実施時期 | 生後4〜6日目 | 同時または追加で実施 |
提供機関 | 全国の医療機関 | 一部の医療機関・民間ラボ |
なぜ拡大スクリーニングを選ぶ人が増えているの?
・家族や兄弟に先天性疾患の既往がある
・より多くの疾患をカバーして安心したい
・SNSやネットを通じて情報に触れる機会が増えた
こうした理由から、最近では拡大スクリーニングを選択する家庭も増えてきています。産院での案内がある場合が多いですが、30週になっても話がない場合は聞いてみるとよいでしょう。
注意すべきポイントと家族での話し合い
拡大スクリーニングの結果は「全て白黒はっきりする」わけではなく、可能性のある場合は要精密検査となるため、その後もう一度検査を行うことになります。そのため、医師や専門の遺伝カウンセラーとの事前相談がとても重要です。
まとめ
赤ちゃんの未来を考えるうえで、「マススクリーニング」と「拡大スクリーニング」について正しく知ることは、親としての大きな一歩です。それぞれの検査の意味と限界を理解したうえで、家族でしっかり話し合うことが大切です。早期の治療により、普通の子と変わらない生活を送ることができる確率は格段に上がってくるため、検討だけでもしてみることをおすすめします。
命のスタートラインで、できることをしてあげたい—その気持ちに応える情報のひとつとして、この記事が参考になれば嬉しいです。
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